切恋
梨菜達がお化け屋敷に入って、数十分。

  今更ながら、あたしは震えてます。


      「「ィヤァァァッ!!」」2人のとびきりの悲鳴を聞いた後、有無を言わさず、「中へどうぞ」の1言。  嫌、怖いよぉ。そんな事を思いながらためらってると、
     「ほら、行くんだろ?」ギュっと手を繋いで、あたしを進ませる翼。


 「ひぁっ」驚いて、変な声が出ちゃう。

コツコツ、と響くあたしと翼の足音。


  周りは、とっても静かで暗くて・・・。
おまけに、ヒンヤリしてる。    それだけでも、あたしの心臓は持たないのに、
隣に翼が居るから、余計に緊張しちゃう。

  「なぁ、愛望って、昔と全然変わんねぇよな」呟いたのは翼。
その言葉の意味が分からない。   「ぇ?」翼を握る手に力がこもりながら、
   あたしは聞き返す。




   「それは・・・「助けて・・・」翼が喋るのとほぼ同時に声を上げたのは・・・。
  忘れてたっ!此処、お化け屋敷じゃんっ!

「助けて、助けて、助けて・・・」段々と近づくその声。

     「いやぁぁぁぁぁぁ!!」悲鳴を上げたのは、あたしの足首に長い髪の女の人の白い手が巻きついてたから。

        「おい、行くぞ」そんな時も翼は冷静で、あたしをおんぶして、最後まで連れて行ってくれた。


     途中、色んなお化けにビビったけど、翼のお陰で安心できた。



  そして、あたしが辛い思いをするのはこの後の事。    

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