ピーターパン症候群

思わず、「え・・・」と声を漏らす唯に対し、妖精は尚も続ける。

「ピーターパン、皆が待っているわ。行きましょう?」

――ちょっと待て。なんで僕が『ピーターパン』なんだ?

確かに夢の国に行きたかった。こういうのを待ち望んでいた。

――だけど、これは望んでいない!

何故自分が主役にならなければいけないのか?

自分はそういう主役から引っ張っていってもらい、夢を与えてもらいたかっただけなのに。

予想外の事が起こり、暫し反応を示す事が出来ない唯に、妖精は無表情で話す。

「皆が待っているわ。早くしましょう。ずっと待っていたんだから・・・ピーター?」

――機械的で、無感情で、こんな妖精なんて可愛気すらないじゃないか。
< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop