俺様彼氏と空手彼女
「てめぇっ!!」
「私はね、璃依が大っ嫌いなの。生まれたのがほんの少し早いってだけで姉貴面して。しかも、頭も運動神経も私より上。いつもお父さんとお母さんに誉められるのも璃依。空手だって、どんなに努力しても追い付けなかった。信頼できる友達だって、璃依にはたくさんいた」
ぎゅっ、と拳に力が入っている。
「けど、私には誰もいない。信頼できる友達も、大人も。私に寄ってくる男の子はみんな璃依のお下がり。璃依を諦めて私で璃依の代わりにしようとするの」
姉妹っつーのは、何かと大変なのか?
俺には兄貴が一人しかいねぇから、わかんねぇけど。
でも、姉妹で競い合ってるなんて悲しいってもんがあんだろ。
「だから私、璃依からみんなもらうことにしたの。葵くんも居場所も。」
「永井、お前…っ」
「いい?璃依の居場所を守りたかったら、もう璃依には接触しないで。私が噂を流せば、また璃依はいづらくなって転校するかもね?」
「…っ!!わかったよ…」
こうして俺は、璃依から離れてしまったんだ。