君に本当の愛を教えよう
教室に入ると
全開になっている窓から
風がブワッと入ってきた
「んよ」
「サンキュ」
教卓の前に立つ越後に
コーヒーを渡す
そして
椅子にちょこんと座る彼女に
ミルクティーを差し出す
「温かいのでよかったかな?」
「ありがとう…」
目は合わなかったが
初めてきちんとした
彼女の声を聞いた
ツルンとした頬で
茶色の髪の毛
教室の蛍光灯で
彼女の頭に天使の輪が乗る
俺に脅える君を
落ち着かせるため
その髪に触れたかった
俺を嫌がっているようだから
席を何個か空けて座る
「…温かい」
ペットボトルを両手で包み込み
彼女は小さくそう呟いた
俺の胸にも
ちょうどそのペットボトルくらいの
温かさが広がる