君に本当の愛を教えよう
「越後徹。
ここで塾講師してますっ
教科は日本史です」
「は?」
「自己紹介だよ
はいっ次、増井!」
「はぁ?…
増井貴皓。K高2年っす」
「はい
最後は翔子」
「春日井…翔子
U女学園2年生です。」
「2年!?」
「うん、」
「ちなみにお姉さんは
男性恐怖症、」
「え…?」
「だから
増井とまともに話せなかったわけ
しかも外は暗いしあんなとこだし」
「…なにそれ」
「正直今もこの状態はキツい
男2人いて
窓とドアを閉めれば密室だ、…
翔子大丈夫?
駄目そうなったら
窓の近くまで行って
深呼吸していいからな?」
話がやっと繋がったとも思うが
なんだよ"男性恐怖症"って
男が駄目?
彼女は眉間にシワをよせて
申し訳なさそうにしていた
可愛い顔で
そんな顔をされては
こっちが申し訳なくなる
少し話せるようになったんだ
どこまで男が駄目なのか分からないが
俺は彼女の何かになりたい
「何も知らないで
話しかけてごめんね」
フワッ
一瞬目が合ってから
彼女は首を横に振った
「…先生、問題集」
「ん?
増井が拾ってくれてあった」
「あっ…
すみません…ありがとう」
"ありがとう"
彼女のありがとうはあたたかい