君に本当の愛を教えよう
それから
いくつか会話を交わして
別れることにした
「危ないし
寮までおくってくよ」
「大丈夫、いいです」
「でも…」
「今の翔子じゃあ
男と2人きりで帰るなんて無理だ」
越後が口を挟む
「…じゃあ、さようなら」
そうか翔子ちゃんは
まだ俺のこと駄目か…
でも…
「待って!
携番交換しようよ」
「え、」
「怖くなったら電話して
ほら赤外線」
すると翔子ちゃんは
鞄の中から携帯を取り出し
互いのアドレスを交換する
薄いピンクの携帯
くまのストラップたちが揺れる
「じゃあね」
「うん」
翔子ちゃんが歩き出す
「心配だなぁ」
「ですよね」
「夜道も
これからの増井と翔子も」
「え」
「普通に話せたから
男性恐怖症なんか嘘だと思ってるだろ?」
確かに思っている
男だからとかじゃなくて
ただの人見知りくらいに感じた
「お前が飲み物買ってるとき
俺、大変だったんだからな」
「…んでだよ?」
「教室の入り口で固まっちゃうわ
ずっと首横に振るだけで」
「………」
「だから翔子
よくあんな増井と会話できたと思うよ。
…お前も気を付けて帰れよ」
「…んよ」