君に本当の愛を教えよう



「大丈夫…?
俺のせいでごめん」



「ううん
変なこと言って
ごめんなさい…」



そのことは
気になってはいたが
あえて聞くのはよしておこう



「俺が今日電話したのは
昨日翔子ちゃん
藤咲のこときいたでしょ?」



「…紗千…」



「うん、
今日たまたま
俺、藤咲たちのバンドに
代理で参加して
藤咲と色々話してきたよ」



「色々って!?」



彼女はいきなり
必死になった



「えっうーと…
翔子ちゃん
F中出身のこととか」



「っ…」



そんなに中学が嫌なのか?


やっぱ何かあったんだ


落ち着いた彼女の様子が
またおかしくなる



「だ、大丈夫…?」



下を向く彼女の顔を覗く



「やめてっ!」



そう彼女は立ち上がって
走っていってしまった…



「ちょ、翔子!!」



……………はぁ



「翔子ちゃんって
学校でもあんな感じなの?」



追いかけようとした
女の子を止めて聞いてみた



「いえ、
あんな落ち着かない翔子、
始めて見た。
あなたなんなの?」



「俺は…ただ




…好きになっただけなんだ」



フワァっと公園に風が流れる



「ふふっ
増井くん?だっけ?
あなたみたいな
純粋な男の人初めて会ったわ
…きっと翔子もそうなんじゃない?」



「え…」



「まだ増井くんと話したいけど
翔子のこと心配だから
さようならっ」



「…さようなら」
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