君に本当の愛を教えよう
5限目をサボり
屋上に繋がる階段で
翔子ちゃんの男性恐怖症について
俺の知っている限り藤咲に話した
「翔子ちゃんと藤咲仲良いから
てっきり知ってるのかと思ってたよ…」
「…………」
「藤咲?」
「…いつの間にか
全然知らない翔子になってるよ」
「え?」
「私の知ってる翔子は
誰とでも仲良くて
人一倍明るくて脳天気な子。
それが男性恐怖症で
予備校教師の愛人疑惑…」
「愛人疑惑って…;
藤咲、本当に何も知らなかったのか?」
「何も。
昨日の帰りに
公園でけっこう語ったんだけど
それでも全然…」
「そっか…
それに中学の話題を出すと
かなり嫌がるんだ
なんでか分かる?」
「嫌がるの?
…わからないなぁ」
「そうか」
「…なんかショックだな」
「なんで?」
「いつも一緒に馬鹿やって
私にとって幸せだった時間が
翔子にとっては
苦痛だったっていうことでしょ?
…ショックだよ」
昼休みに大騒ぎで現れた藤咲が
今ではしゅんと小さくなってしまった
俺、悪いこと言ったな
「…藤咲」
「私と翔子
本当に友達だったのかな…」
グスン
そう言って
藤咲は脚に顔をうずめて
泣き出してしまった
「おい、藤咲…」
藤咲により声をかけると
「ひゅーひゅー増井ー」
「「え」」