モノクロォムの硝子鳥
「……んぅ、……ふッ……」
頭の芯がジンと痺れたように溶けてしまっている。
口腔を掻き回され、唾液の絡み合う濡れた音に羞恥を煽られて。
顔だけでなく身体までも熱く焼かれる。
息をしようと喉を震わせれば、否応にも唾液が滑り落ちてしまう。
抗えず、コクリと喉を鳴らしてそれを飲むと、九鬼の舌がご褒美だと言わんばかりに舌を撫でて擽った。
溢れた唾液が唇から零れ、顎を伝って首筋を滑るだけで新たな震えが肌をなぞる。
九鬼に囚われた小さな身体は、口付けだけでどうしようもなく熱くなってしまっていた。
けれど、自分の身体がどうなっているかなど今のひゆには考える余裕なんて無い。
熱く痺れる身体にひゆはどうしようもないもどかしさを覚える。
「……ほら。考えなければ貴女はこんなにも素直で、可愛らしい――」
濡れた音を立てて唇が離される。
九鬼は耳朶に唇を寄せると囁きと共に口付けを落とした。
ちゅっ……と鼓膜のすぐ側で立つ音に、ひゆは肩を揺らして首を竦める。
酸欠で、ぼんやりとする頭では九鬼の言葉が上手く届かず、ひゆは何を言われたのかと濡れた瞳を開く。
「……何……で、こんな……」
「蓮水様が素直になれるよう、お手伝いしたまでです。その証拠に――」
口元に綺麗な弧を描いて告げる九鬼の手がワンピースに触れた。
布の上からゆっくりとひゆの太腿に手を滑らせる。
「口付けの最中、ずっとこうして私の身体に太腿を擦り付けて、もっと……と強請って下さいましたから」
綺麗な笑みを浮かべて告げる九鬼に、ギクリとひゆの身体が強張る。
視線を下げれば。
ひゆの脚の間へと身を割り込ませていた九鬼の腰に、はしたなく太腿を押し付けている自分の脚が視界に映った。
「……っ……!」
優雅なドレープを描いていたワンピースがくしゃりと皺になり、片足は膝から上に大きく捲れ上がってひゆの白い太腿が晒されている。
弾かれたように捲れ上がっていたワンピースを引っ張って戻した。
「……違っ、私は……そんなのしてな……っ」
ぎゅっと身を縮めて俯く。
恥ずかしくて恥ずかしくて、心臓が壊れてしまいそうだ。
今すぐこの場から、彼の目の前から消えてしまいたい。