モノクロォムの硝子鳥

九鬼が用意してくれた夕食を食べ、それから後はお願いして一人きりにして貰った。
最初に通された部屋は、あらかじめひゆの為に用意されていた部屋らしく、自由に使って良いと言われた。

食事はひゆの部屋へと運ばれてきた。
夕食に出た料理はどれも美味しくて、ひゆのリクエスト通りあっさりしていてとても口当たりが良かった。

名前の知らない料理が凡そ一人では食べきれない程いくつも出されて驚いたが、九鬼が言うにはひゆの味の好みが分からないので気に入ったものだけ食べれば良いと笑顔で促された。

残してしまうのは申し訳なかったが、九鬼の言葉に甘えて好きな物だけ口に運ぶ。
中には珍しい料理もあったので、興味半分で少しだけ食べたり。

小食ながらもなるべく手を付けた物は綺麗に食べた。

食べ終わった後、九鬼に「お口に合いましたか?」と尋ねられ、素直に「美味しかったです」と答えた。
きっと彼は笑顔で尋ねてくれただろうけれど、ひゆは視線を合わせられなかった。

一人になりたいと言ったひゆの為に、食後のデザートに、と瑞々しいフルーツの添えられたムースと紅茶を用意してから九鬼は部屋を後にした。

食後の紅茶はふわりとアプリコットの香りが漂うダージリン・ティー。
どうやら九鬼は、ひゆがフレーバーティーを気に入ったと思っているらしい。

今まで、市販の紅茶くらいしか口にした事が無かったので、九鬼の淹れてくれる紅茶は本当に美味しかった。

寝室に移動して、クイーンサイズほどもある大きなベッドの端に遠慮がちに腰を降ろして、暖かい紅茶を飲む。

ふわりとした甘さと紅茶の温かさにほっと一息ついた。

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