Maidoll Factory
そんな懸命な少年の呼びかけが届いたのか。

「…………」

ゆっくりと瞼が開き、その水晶の瞳に魔力の淡い光が宿る。

その宝石のような美しい瞳が、少年の顔を凝視して。

「…はい…おはようございます。はじめましてご主人様…」

彼女…フィノは柔らかく彼に対して微笑みかけた。

「フィノ…それが私の名前なのですね…素敵な名前で嬉しいです、ご主人様」

ゆっくりと身を起こし、少年の前に静かに立つフィノ。

「これからフィノはご主人様のパートナーとしてお側に居させて頂きます。どうぞよろしくお願い致します」

「うん…こちらこそ、フィノ!」

緊張した少年の表情が、パァッと明るく晴れ渡る。



こうして僕は新しい出逢いの導きを終えて、工房へと戻っていくのだった。





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