オレの相棒。
ノーアウトランナー、一塁。
今のは申し分ない球だった。
…打った影山をほめるしかない。
次の打者に集中しなきゃ。
「二番バッター、上総くん」
次の打者は、この人か。
手足の長い彼はほんとにどこに投げてもよく打つ。
今までの通算打率は約六割。
俺と違って春の予選からだから、ほんとにスゴいんだろう。
彼の前にランナーを出したくなかったけど、しかたない。
胸元へのストレートにしよう、東。
腕が長いと、どうしても内角は打ちづらくなるはずだから。
--バシッ
心地良い音のはずが、遠くで聞こえるように感じる。
気が遠くなるような激しい痛みが左手を襲った瞬間、
「走った!!」