上司に恋しちゃいました
ベッドがふたつあるのに、わざわざシングル用の狭いベッドで、ふたり横になった。
胸板に頬を寄せ、鬼の王子はあたしの肩を抱きしめる。
とても安心して、幸せを感じた。
不倫に幸せなんてあるはずがないと思っていた。
でもあたしは今、確かに幸せだった。
たとえ刹那的でも。
ううん、刹那的だからこそ、確かに幸せだったんだ。
「明日どこ行く? 俺ちょっと調べてたんだけどさ……」
そう言って、鬼の王子は一冊の旅行専門雑誌を取り出した。
「その雑誌、あたしも買いました!」
起き上がってバッグから雑誌を取り出すと、黄色い表紙の同じ雑誌が並んだ。