上司に恋しちゃいました
カァァっと顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。


こんなに正直に、こんなに情熱的に求められたのは初めてだった。



あたしも今すぐにでもキスがしたい。


背伸びすれば届くその距離が、近そうで遠くて、欲しくてたまらない。



「君が欲しい」



真っ直ぐに見つめられて、あたしは気が付いたら鬼の王子の背中に手を回して、唇を押し付けていた。



鬼の王子もすぐに応戦してくる。



あたしの背中を力強く抱きしめ、その手は撫でるように下にいった。



息を吸うのも勿体ないくらい、深く舌を絡め大きく口を開いた。



さっき飲んだビールの味がする。



こんなに情熱的にキスをしたのは初めてだった。



こんなに男の人が欲しいと思ったのも、初めてだった……。
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