上司に恋しちゃいました
あたしが上がると、入れ替わるようにして鬼の王子がバスルームに入っていった。



身体に甘い匂いのするボディークリームを、マッサージするように塗りつけた。



落ち着け……



落ち着け……



深呼吸をして自分に言い聞かせた。



あたしは後悔しない。



どんなことになっても、後悔しない。



よし、大丈夫! と思った時、財布やタイピン、携帯などが無造作に置かれたサイドテーブルに指輪も置かれてあることに気付いた。



指輪を見ると、胸がぎゅっと締め付けられた。



どうしてこんな見える所に置いておくのよ。



涙が出る前の、ツンとした鼻の痛みを感じながら心の中で鬼の王子を批難した。

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