上司に恋しちゃいました
「あの日も涙目だった」


鬼の王子は抱きしめた手に力を込めた。



あの日……?


ああ、拓也が浮気をした日か……。そうだあの日から始まったんだ。



「悩みがあるなら……言ってほしい」



切なげな声が胸にキュンと響いた。



けれど、誰が言えるだろうか。悩みの元はあなただと……。



「本当に、コンタクトがずれただけですから」



向き直って笑顔で言った。



きっとあたしは……これから嘘が上手くなる。



そんな気がした―――

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