上司に恋しちゃいました
プシュ……


ゴクリ。



コーヒーが咽を通る音がやけに大きく聞こえて、気まずさを感じた。



「深川さんって……彼氏いるんですか?」


突然の問いにむせてしまうかと思ったけれど、なんとか堪えた。



「いや……いないけど……」



『彼氏』はいない。嘘は言っていない。



「じゃあ俺、立候補してもいいですか?」



ゴクン……


コーヒーを飲む音が静かな廊下に響き渡った。

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