流れ星のカケラ【完】
その時、ちょうど目の前の信号が赤になる。
点滅しているのに横断歩道を渡る人々。
もっと最低なのは赤になったばかりだからという感じで平然と渡る人。
世の中、こういう人がいるからおかしくなるんだ。
お母さん達だってこういう人たちがいなければ…
常識をもって公共の福祉に反していない人だけの世界だったら…。
そういう非常識な行為をする人がいると
人間って最低なヤツだと思う。
人間なんて…
人間なんてこの世にいなければいいんだ。
そうすれば悲しむことだってなかったのに…。
その時からだったの。
一部の人間…
ほとんどの人間が嫌いになったのは。
そんなことを思っていたら坂木さんが口を開く。
『俺の両親もね、殺されたんだ。』
衝撃な言葉の後、信号が青に変わる。
車が動き出す。
青になったことでまた人が横断歩道を渡る。
『俺も優貴ちゃんと同じ小6の時にね。
泥棒に殺されたの。本当に一瞬だった。
今までいなくていいと思っていた親父とお袋が目の前で死んだんだ。
それから、本当にいなくてよかったのか?って思ってしまってね。
それから泥棒もすぐに見つかって…。
思いっきり目の前で泣いてやった。
挙句の果てに泥棒に向かって''お袋たちに謝れ!''って怒鳴って謝ってもらったよ。
そんなんで許されることがないのはわかってたし、謝ってもらったからって
心がッキリしたわけでもない。
ただ、とにかくお袋たちに謝ってもらいたかった。
その後、警察が泥棒を刑務所に連れて行ったんだ。
その連れて行く後姿がカッコイイって思った。
''俺もいつか警察になる''そう意気込むようにいつの間にかなって今がある。
今の俺があるのも彼女がいたおかげも一理あるけどな。』