流れ星のカケラ【完】
「優貴ちゃん、その人ってどんな感じ?」
「もうそれは最低ですよ…。急に名前で呼んできたり、お母さん達のこと言ってきたり…」
次の言葉が言えなかった。
''俺とさ付き合ってみない?''
''仮でいいからさ、付き合ってよ。''
なんであんなこと言ったの?
愛が欲しいって何?
「優貴ちゃん、切れて怒鳴ったら声出た的な??」
「まぁそういうことです。」
「優貴ちゃんを怒鳴らせるとかソイツ馬鹿だなぁ。」
「ねぇ、優貴ちゃんの声を出したのって女の子かもしれないのにソイツはなくない?」
「あっ、男子なんで大丈夫です!」
「ならいいや。それより、その男子の名前なんて言うの?」
「高瀬聖です。」
私が名前を言った途端、坂木さんの目が大きく開いたのを見逃さなかった。
「その高瀬ってヤツはどんな感じ?」
「えっ…赤みがかった茶髪で整ってる顔立ちですけど…」
坂木さん、高瀬のことなんか知ってるのかな。
「それより、聖とかいい子そうな名前してんのに優貴ちゃん怒らせるなんてね。」
「そうですよね…」
坂木さんと高瀬の関係が気になってしまう。
「咲さん、レメのケーキ食べたいです。」
話題を変えるために、少しだけワガママを言った。
「いいねっ!思いっきり笑った後はデザート食べたいし♪」
「じゃあ3人で行こうか?」
外に出るとあの時の事件のように満点の星空だった。
『流れ星が見えたときにな、
誰かの心に1つずつカケラが届くんだよ。
そのカケラは5つあって
1つは悲しみ
2つ目は楽しさ
3つ目は嬉しさ
4つ目は怒り
5つ目は愛なんだって。』
急にアイツが言った言葉が頭を遮る。
なんでだろ…あの時はものすごく意味不明だったけど、
今なら少しわかるような気がする…。
だって…