私がヒールをぬいだ時
家に帰ると、この前送った吹き出しのチェックのファックスがきていた。私はまたやり直すと、送り返した


二階には私専用の電話ファックスがあり、電話番号も家とは別にしている


新しい担当さんから電話がきて、大阪での打ち合わせの場所とか細かく説明された


7月30日 Tホテルロビーで待ち合わせ。担当は梅川力斗


私はその日G市駅の朝一番の特急で大阪に向かった


T駅近くで軽くサンドイッチをつまんで、コーヒーを飲んだ


少し時間を潰してタクシーでTホテルまで向かった


お昼前、ロビーで待ってると声をかけられた


『立花先生ですよね』


『はい、梅川さん?』


『はい、初めまして。梅川力斗です』


梅川さんはまさに今風の髪型に今風のスタイルで、顔もホストのように調っていた


『じゃあ部屋で細かい話しを』とホテルの部屋に入った


『まず映画ですが正式にきまりました。俳優陣はこのリストの通りです』

と私に紙を渡した


『結構個性的な俳優さんばかりね。監督さんも私の好きな人だし…いい映像録ってくれそう』


『それで、製作発表の日には先生にも出席お願いしたいんです』


『私が?』


『監督さんがそうでなきゃいけないって…あと脚本家さんも、先生には必ず入れて欲しい台詞、外せない台詞聞いておきたいそうで…』


『そんなに私に関わってきちゃうの?』


『そうですよ、人気のある作品ですからね。だから先生も自覚もって、映画には望んでください』


そうなんだ…こうなるとちょくちょく東京にも行かないとダメだな…


『打ち合わせ場所はここのホテルで、今日原稿持ってきてますか?』


『はい』と私は渡した


『さすが先生9月分ですか…』


『とにかく早い目に仕上げないとやっていけないから。もうすぐアシスタントの女の子きてくれるんですよ』


『そうですか、よかったです。くれぐれもお体は大切にしてください』


中々しっかりした青年である。担当に選ばれただけあるな
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