【短編集】フルーツ★バスケット

 そして、遂にやってきた。

 これまでの成果を発表する日。

 夏休みの終わりに出逢ってから、約1カ月。

 あたしの最初の舞台(ステージ)。

 夕闇に包まれていく中、広場に集まってきた沢山の人たち。

 簡易的に設置された黒い布地だけで敷居られた袖裏から、

 コッソリ、と会場を見てみた。

 みんな、興奮と期待の熱狂の集団。


「す、凄いよ
 こんなにも、沢山……」

 今更ながら、GRAPEの人気の凄さに感心した。

「ったりめぇだろ。
 俺たちを誰だと思ってる」

「そうだよ。
 此処で結花ちゃんも羽ばたくんだからね。」

 「感心してる場合じゃないぜ」

 そんな、プレッシャー、掛けないでよぉぉぉ。

 そだ。

 人・人・人、

 掌を広げて、指で見えない文字を書いて、

 あとは、これを……。



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