舞い誇る華
その言葉にしょんぼりした様子の雛菊を見て、藤歳はハッっと鼻で笑った。

それに気付いた雛菊は仕返しと言わんばかりにあっかんべーを藤歳に向かってしグラウンドを走り出したのだ。


当然、頭にきた藤歳は

「んの、やろーーー!!!!」

今まで持っていたカバンを地面に置き雛菊を追う為走りだした。


「藤歳っ!! 雛っ!!」


そんな奈月の呼びかけも虚しく、2人はグラウンドの隣に位置している林の中へと入っていったのだ。 
「確か あの林って…」

「奈月? どうしたの??」


声を掛けられた奈月は、後ろを振り向くとそこには、きょとんとした弓道衣姿の鈴蘭がいた。

「鈴… 実は藤歳と雛菊があの林の中に入って行ったんだ…」


「えっ あの林って確か…幽霊の声がするとか神隠しがあるって奇妙な噂が流れて立入禁止のはずでしょ? それに、今度第2グラウンドを作るとかって……」


2人は互いに顔を見合わせた。


「…俺、2人を見つけてくるから鈴蘭はここで待ってて」


そう言うと足元に置いてあったエナメルバックから携帯を取り出した。


「あたしも行く 2人とも別々に行動してるはずだから、手分けした方が早いよ」


「でも あぶな「大丈夫!ねっ?」


奈月の声を遮り鈴蘭は頼み込む。
引きそうにない鈴蘭を見て、一旦間をあけて わかった と言った。


「奥まで入らなかったら平気だと思うし
2人とも携帯は自分で持ってるはずたがらすぐ見つかるよな」



自分のカバンと雛菊、鈴蘭のカバンを持ち上げながら鈴蘭に話し掛ける奈月。












――だか2人は気づいていない
その 安易な考えが自分達の命を削ることになるとは
まだ 誰も気づいていないのだ――…

 
< 9 / 159 >

この作品をシェア

pagetop