同じ空の下で
「私は奏。そして、あなたの妻です」
僕はここにたどり着くまで、色々なことを体感した。それも、デタラメなことばかりを。だからもう、不思議な現象には慣れてしまっている。大体のことは受け入れられるだろう。
だけど。
目の前の猫はどう見たって猫で奏ではないし、ましてまだ見ぬ僕の奥さんだなんてことはあるはずがない。僕は視覚までおかしくなったのだろうか?
「今のあなたには疑問だらけだろうけど、詳しい話はもうちょっとだけ待ってね。まずは、やらなければいけないことがあるから」
そう言うと、猫はピョンと駆け出した。「ついてきて」
言われるまま、僕は猫を追って走り出した。
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