同じ空の下で
家までの道のりを歩きながら、僕はもう既に確信していた。
このペンギンは本当に僕たちの仕事のことを知っている。もしくは、秘密とも言うだろう。何故なら、僕たちのこの仕事は完全に裏組織だからだ。ハローワークで社員を募集していることなんて間違いなくないし、国家資格でもない。むしろ、こんなことが行われているなんてバレたら即禁止され、僕たちの存在も永久に闇の中へと葬られるだろう。僕たち、とは僕と妻はもちろん、藤井その他も含めた特殊能力を持つ者たちのことだ。

先程、公園まで走る道すがらペンギンは言った。
「記憶の交換」
「何だって?」
僕は走りながら、聞き返した。
「記憶の交換。さっき話していた続きです。あなたたちの仕事です」
僕は立ち止まり、いろいろなことを聞き出したい衝動にかられたが、それどころではない。僕は込み上げたいろいろな言葉を飲み込んだ。妻も何も言わなかった。

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