同じ空の下で
「誤作動。それは、記憶の交換を行う際に、注入する予定の無い別の記憶が割り込んで入ってしまった時に起こる症状」
家まであと少し。ここで、ペンギンがそう言った。
「さっきの人の場合は、天下統一を目論むスケートが趣味の将軍、でしたよね? そんな記憶、誰が持っていたんでしょう」
僕はここでも込み上げる言葉をなんとか抑えた。家へ帰ってからだ。またあのテーブルを囲って話せばいい。話すことは山ほどあるはずだ。
妻が鍵を取り出し、鍵穴にはめる。カチャ、っと小気味よい音が響いてドアは開く。僕たちはドアの中へと入っていく。日差しはもう、決して高いとは言えない場所にあった。
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