同じ空の下で

誰か

父さんは、酒屋で揉め事を始めた奴らの仲裁に入った。そして刺された。そいつらは、赤の他人だった。
あの日から3日が経った。今日は1学期の終業式がある。お通夜やお葬式で、僕は学校を休んでいたけれど今日の式には出ることにした。
「それじゃあ、行ってくるよ」
キッチンの母さんに声を掛ける。
「祐希、本当に大丈夫なの? 別に休んだっていいのよ?」
「大丈夫だって。明日から夏休みだし。母さんこそ、無理しないでよ?」
「……ありがとう」
「いってきます」
「いってらっしゃい」
僕は玄関を出る。そうだ。僕がしっかりしなくちゃ。
奏の家を横目に見ながら、僕は学校へと歩き出す。あの日以来、奏も相当なショックを受けていて学校を休み続けた。父さんと奏は仲良しだった。
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