同じ空の下で

喫茶店

「はぁ、はぁ、はぁ……も、もう大丈夫……なんじゃないかな?」
この子、僕より遥かに体力がある。あれから10分は走った。もう僕はくたくただった。
「……そうね」彼女はちらっと後ろを振り向き、「もう大丈夫だと思う」と言った。「ただし今のところは、ね」
今のところ? じゃあまた走らなくちゃいけないのだろうか。……そもそも、僕らは何から逃げているんだ? 貴田先生? そのへんのことを詳しく聞かなくちゃ。
「ちゃんと説明してあげるわよ」
僕の顔を見て、考えていることが判ったのだろうか?
「あそこの喫茶店に入りましょう」
古ぼけた、小さな喫茶店を彼女は指差した。
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