二藍蝶
「うん、分かった」

「じゃあな
 寄り道せずに
 真っ直ぐ帰れよ」

貴方は、私に手を二度振り
背を向けて前へと歩き出す。

貴方の背中はどんどん
人込みをすり抜け
見えなくなる。

私は、声の限り
彼の名を叫んだ。

「カイリ
 今日は、ありがとう」

「ああ
 そうだ、アイ
 家に着いたら、電話しろよ
 聞こえた?」

「うん、聞こえたよ」

貴方は手を振り、振り返る。

私は、振り返り、改札口を
ぬけた。
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