二藍蝶
「私・・・
 
 あの子の友達なんて
 一人も知らない・・・」

「ヒイロ?」

母親失格とばかりに
落ち込む秘色。

藍の事が心配で心配で堪らない
そんな妻の肩を抱く芳野は
携帯を受け取り電話をかける。

繋がらない・・・

『アイ、おまえは今
 どこにいる?』

閑静な住宅街

歩道、電柱の傍に
停められたバイク・・・

黙ったままの貴方に手を引かれ
素敵な外観の建物の中へ。

貴方は、手馴れた様子で
部屋番号を押す。

「はい?」

聞こえる、女性の声。

「カイリだけど、開けて」

「カイリ・・・」

開かれるドア。
< 273 / 918 >

この作品をシェア

pagetop