二藍蝶
「・・・カイリ、帰るの?」

「ああ」

女性はベッドに
横たわったまま手を振った。

部屋のドアがゆっくりと閉まる

間隔をあけて立つ外灯

その下だけが、薄っすらと
明るく、他は、ひたすら
真っ暗な道が続く。

そこに、浬の吸う煙草の火が
蛍のように、ぽつりと
一つだけ光る。

本当、何も無い田舎町・・・

物静かで、薄気味悪い。

しばらく歩いて、一軒家の前。

ドアノブに手を触れるが
こんな時間に鍵が開いてる訳が
無い。

銜えた煙草を、携帯灰皿に捨て
ズボンのポケットに両手を
突っ込み鍵を探す

高月 浬(たかつき かいり)
< 36 / 918 >

この作品をシェア

pagetop