二藍蝶
「鍵、ねえし・・
 
 仕方ねえか」

浬は、二階の窓が開いている
事を確認する。

電柱を伝って、二階から
家の中へ入ろうとしたその時
誤って、鞄を落としてしまった

しつこいですが

ここは、田舎町・・・

そんな些細な音にも
反応する町・・・

まず、最初に隣の家の犬が
吠え出した。

ワンワン・・・

ドアが開き、明かりが洩れる。

「お前、何してる?」

鋭い視線・・・

凍りつく俺は、電柱から
飛び降りて鞄を拾う。

洩れる光を背に立つのは
浬の父親・・・

俺は、この人には敵わない。
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