二藍蝶
浬の頭をやさしく撫でながら
溢れる涙を堪えて、菫は言う

「彼女・・・きっと
 お若いんでしょう?
 
 彼女には、あまりにも
 この現実は酷すぎる
 
 目を覚まさないカイリを
 待ち続けるなんて重荷を
 私も主人も
 
 この子の愛する人に
 負わせたくないの

 岸邊さん お願いです
 カイリの事は彼女には
 黙っていてください」

「・・・はい
 ・・・わかりました」

悲痛な面持ちで
病室を出て行く、塁。

閉まるドア・・・

「カイリ、ごめんね
 彼女に会いたいよね
 
 お母さんを許してね」

眠る浬の頬に、悲しい
涙の雫が落ちた。

目覚めない、浬・・・

長い、夢の中

貴方は、何を想うの?

二年の時が過ぎる・・・
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