二藍蝶
逸らせない視線・・・

貴方は、小さく首を傾げた。

困ってる?

浬、なの・・・?

見れば見るほど

貴方は、浬・・・

浬、今更だって貴方は
言うでしょうね。

だけど、もう一度
貴方と話がしたい。

貴方の、その冷たい手に
触れたい。

貴方に駆け寄ろうと動き出した
私の足が止まる。

彼の傍に集まる、仲間。

「リン、お待たせ」

「おう、おせえよ」

リン・・・

それはきっと、彼の名前。

今どきの十代の男の子達

大人びた彼も、笑うと
少年に戻る。

友達と並んで、彼は人込みに
消えて行く。

俯いて、足元を見つめる私。

遣る瀬無い、気持ち。
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