二藍蝶
「ユキさん
 カイリの連絡先・・・
 知っているなら
 私に、教えてください

 カイリに
 どうしても逢いたいの」

ポロポロと大粒の涙が
頬を伝う。

「お願い・・・」

見つめる真剣な瞳に
その熱意に、打たれる雪乃。

「アイちゃん、分かったわ
 カイリの連絡先を教えて
 あげる代わりに、私が
 これから言う事を
 ちゃんと聞いて・・・」

「はい・・・」

「カイリの為に貴女は
 仕事を辞められる?
 
 今ある、全てのものを
 捨てられる?

 残りの人生をカイリに
 捧げられる?

 どんなカイリでも受け止めて
 あげられる・・・?」

娘と、手を繋いで電車を降りる
雪乃に、手を振る藍のもう一方
の手には携帯電話。

アドレス帳には

カイリの文字・・・

新しい電話番号・・・
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