鶏冠頭の不良
「せやな、裕芽、帰るで」
「うん」
綺麗な廊下を抜けて、玄関で靴を履く
「黎さん今日はありがとうございました」
「いいえ、どういたしまして
裕芽ちゃん、ちょっとちょっと」
手招きをされて黎さんに近付くと、耳元でコショコショ、っと良いことを教えてもらった
「やってみてね」
「はい!!」
訳のわからない鶏冠頭はほんの少し不機嫌モード
「おら、裕芽帰んぞ」
「あ、うん
黎さんさようなら」
「また来てね、二人とも」
「はい」
「――…わぁってるよ、“親父”」
その鶏冠頭の二文字の言葉で、黎さんはどれだけ嬉しい気持ちで満たされたことやろうか
何年も待ち望んでいた、その言葉を言ってもらえた
言葉に現せへんくらい嬉しいことちゃう??