アイコトバ。 feat.とうふ白玉
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「お~見ろ!!山が緑色だ!!」
私の隣で彼氏が窓に顔をはりつけて外の景色を楽しんでいる。私はその彼氏の様子を見て、
「山が緑色じゃなかったら大変でしょ!!」
と、彼氏の後頭部にチョップを食らわした。振り向いた彼の唖然とした顔が可愛くてたまらない。
「それにしても私たち運がいいよね!!旅行が当たるとか」
私は照れているのを隠すために話題を変える。彼もその話題に食いついてきた。
「でも、なんか不自然な気がしねぇ?何も持ってこなくていいだなんてさぁ」
「そんな不自然じゃないわよ。だから当たった人がこんなに少ないんでしょ!!」
そう言って彼を無理矢理納得させ、私と彼は前を見た。私たち以外に三組が座っている。本当に参加者が少ない。
「まぁ、そんなことは気にせずに楽しもうぜ!!付き合って初めての旅行なんだからさ」
「そうね!!あっ見えてきた!!多分あの屋敷じゃない?」
「えっ?どれ?俺わかんねー!!」
私が指差して言っているのに彼はなかなか気付かない。試行錯誤して彼がやっと屋敷を見つけた頃にはもうバスは駐車場に止まっていた。