アイコトバ。 feat.とうふ白玉
3◇ mansion.
*1*
「着きましたよ~」
運転手に促され、八人はバスを降りた。全員、辺りを見回している。
視界に鮮やかな緑色が広がる。その場所はまるで、まだ人の手が加わっていない自然そのものだった。
その自然の広がる空間に屋敷がぽつんとあった。
時代の流れに逆らっているようなレトロな造りだ。そして周りの草木の緑とは対照的な赤い壁。赤い屋根。何か不気味な印象を受ける。
「それでは屋敷に入るので着いてきて下さいね~」
運転手の後に着いていき屋敷の前に行くと、扉の前に黒いスーツを纏い、手には黒い冊子を持った背の高い男が立っていた。
運転手と八人が来たことに気付くと無表情から笑顔に変わり、
「いらっしゃいませ。この度は、知多摩村一泊二日旅行ツアーに参加いただきありがとうございます。私はこの屋敷の執事をさせていただいております、黒川と申します」
と、頭を下げ、一人一人に名刺を渡す。八人は少し戸惑いながらも軽く頭を下げる。
「それではお名前を教えてください」
黒川は胸ポケットにあるペンを取りだし、手に持っていた黒い冊子を取りだし、表紙を開いた。