あいつのキスの練習台


「アイツ……遊んでるってウワサだし、これで良かったと思うけどなぁ」


「それってウワサでしょ? 実際に見たワケじゃないんだからそういうの良くない!」


「真琴はアイツが好きだから庇うんだって!」


 ――それもあるかもしれないけど。


 ウワサだけで左右されるのがスキじゃないんだよね、過去の経験からして。


「真琴~」


 遠くからあたしを呼ぶ声がした。


 ――誰が呼んでるかなんてすぐに分かる。

 だってその声を聞いただけで胸が切なくなって、自分の頭の中でこの瞬間をリピートしてるんだもん。

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