月の影

帰り道

学校からの帰り道


電車に乗って窓の外を見つめる



先生‥
どうして、あたしはあなたより十五年も遅く生まれてきてしまったんだろう


地に着かない足が憂鬱の影をつれて歩く



ひとりになるといつもそうだ



どうして?
どうして、あたしはあの人が好きなんだろう


どうして、あの人じゃないとダメなんだろう



声を聞けばまた胸が苦しくなる‥わかっているのに電話をしてしまう


迷惑だって言ってくれたらしないのに



どうしてそんなとこだけ優しくて、大切なところで冷たいの



電車を降りて、暗い夜道を歩く



カツカツカツカツ‥


後ろに嫌な違和感



‥後ろの男、もしかしてついて来てる?



急に不安になる
思い込みかもしれないのに、ドクンドクンと動悸が早くなる



暗く細い道に差し掛かる

男はまだついてくるし‥家はまだまだ遠い


‥先生


携帯のメモリーから先生の名前を探し電話をかける


怖いよ、先生‥早く出て


先生はまだ学校なんだろう、繋がらない



カツカツカツカツ‥


男の歩く音はだんだんと早くなる‥


嫌だ、怖い


―♪


携帯が鳴る


「はいっ」

「どうしたの、そんな焦った声出して」


先生の声に涙がでた
< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop