一なる騎士
 真の主を見つけて、人は真の騎士となる。
 真の『大地の王』を見出して、リュイスもまた真の『一なる騎士』となったのだ。
 深い決意を心に秘めてリュイスは、さきほどのことを口止めすべく王妃に声をかけようとしたときだった。

 どおおお~ん。
 すぐ近くで雷でも落ちたような轟音に部屋が震動する。
 とたん、外が騒がしくなる。

 リュイスはどうするか判断に迷い、赤子に目を落とす。
 彼の姫君は外の騒ぎにも動ぜず、眠りにつこうとしていた。
 何より雄弁に何の危険もないと語っているようで、リュイスは一息つく。

 それに、王の家族の住まうここは、城の奥宮。
 もっとも厳重に警備されている場所である。
 ここにいれば、どこにいるより安全なはず。

「王妃様、何が起こったのか確認してきます」

 赤子を抱いたまま不安げな王妃の返事も待たずに、彼は部屋を飛び出した。
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