甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
「二人だけで話したいので、ちょっと待っててください。すぐ済みますから…」

私は征一さんと進藤さんにそう言いながら、もごもご言ってる恵美ちゃんの背中を押し、女子トイレへ向かった。


「裕子、どうなってるのよ? なんで匠君が裕子の彼氏って事になってるわけ?」

「それには色々と事情がありまして…」


征一さんが匠を誤解したいきさつから、未だにその誤解を解けていない事を、恵美ちゃんに説明した。

「事情は分かったけど、そんな誤解はすぐ解かないとダメだよ」

「うん、分かってる」

「匠君の事が、あんた達の間の大きな壁になってると思うの」

「そうなのかなあ」

「間違いないわね。匠君の話をした時、神崎さんすごく辛そうだったもん」

「ほんとに?」

それは嬉しい反面、ますます本当の事を、言いにくくなったわけで…

「今すぐ本当の事、言いましょう。ね?」

「それは待って。後で二人きりの時、話すから。お願い!」

私は顔の前で手を合わせ、そうお願いをした。

「どうして?」

「征一さんって、嘘が嫌いなの。だから絶対、怒ると思うの」

「もう怒ってると思うけど?」

「ううん、彼が本気で怒ったらあんなものじゃない。すごく恐いんだから。短気だし」

「そうなんだ…」

「もし怒って、私達を置いて帰っちゃったら、どうする?」

「それは困るわね。分かった。黙ってる。でも一刻も早く誤解を解くこと。いいわね?」

「は〜い」

「あ、それと。神崎さんは丸よ」

「え?」

「いい人だと思うし、裕子との相性はバッチリだと思う」

「そうかな? えへ」

「喜ぶのは早いわよ。婚約者という難関があるわけだし、前途は多難よ。でも頑張って。応援するからね」

「ありがとう。私も恵美ちゃんと進藤さんとの事、応援する〜」

「はいはい」
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