甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
「俺は内部監査室の神崎だ。知ってたか?」

「はい」

『下のお名前も』と続けたかったけど、言える雰囲気じゃないよね?

「なぜ知ってるんだ?」

責めるようなキツイ言い方に肩がビクッとした。
眼鏡越しの冷たい視線が痛い。

例えば凶悪犯でも、その目で睨まれたら、竦み上がるんじゃないかしら。

「なぜって言われましても…」

まさか友人に調べてもらったなんて言えるわけもなく、適当にごまかすしかない。

「だって同じ会社ですし、神崎さんは有名ですから」

「俺がか? うそだろ?」

「いえいえ、なんせ神崎さんは『ミスター内部監査』ですから、誰でも知ってますよ」

私と恵美ちゃんは知らなかったけどね。
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