ボーダー
……窓から差し込む光が眩しい。

朝か。

朝!?

……ヤバい、昨日、蓮太郎に結局2回も愛されたあと、そのまま眠ってしまったのだった。

今日、チェックアウトなのに。

「おはよ、メイ。
慌てて起きなくてもいいのに。
結構2回目激しくしたから、身体痛いだろ?

メイはほぼキャリーバッグの中身詰め替えるだけでいいと思うぜ?
野郎共みたいにそこら辺に服放ったりしてないしな。

……身体が資本だぜ?
ここ数日ので、デキたかもしれないよ?
何せ、自分の妻の安産と一緒に、オレたちの子宝まで祈願してくれた、って一成が言ってたから。」

ちゃっかり、私たちの分もお祈りしてくれてたのね。

「身体が資本、って言っておいて、激しくしたのはどこの誰よ!」

「奥さんが色っぽかったから、つい。
機嫌直して?」

ぎゅ、と私を抱きしめて、胸の膨らみの間を軽く吸われる。

「うん、いい感じ。
メイはオレの奥さん、ってシルシ。」

私はベッドから降りて、洗顔やら着替えを済ませる。白いブラウスに花柄のスカート。
青いジャケットをすぐに羽織れるようにする。

これで、沖縄と気候が違う都会に戻った時の気温差にも対応できる。

「可愛いじゃん。
仕事できるキャリアウーマン、って感じする。

その格好でバリバリ仕事こなしてそう。

そういう格好の奥さん、超好み。

ジャケットは置いて、荷物をあらかたまとめたら、朝ご飯食べにレストラン降りようぜ。

今日でこのホテルの食事は最後だしな。」

荷物をスーツケースにしまって、お呼びがかかったらすぐに出られるようにしておく。

洗面台を独占して、化粧をしてピアスを耳にさすと、エレベーターで朝食会場に降りた。

朝食会場に降りると、黒沢夫婦やハナちゃん、御劔くん、真くんに麻紀ちゃんがいた。

「楽しかったなー、沖縄。
また来たいね。
今度は、バチェロレッテパーティーメンツで、っていうのもいいかもね!」

「いいわね!それ!」

「その旅行やるなら、ハナが卒業した後かな?
声掛けてくれれば、宝月グループが惜しみなく協力するぜ。」

「ありがと。」

そんな会話を楽しみながら、ビュッフェスタイルの食事を楽しむ。
好き嫌いしないでバランスよく食べないとね。

まだ見ぬ、未来の私と蓮太郎の子供のために。

「4皿で限界だ。」

「1皿更新だね、メイちゃん。」

同じく4皿なのは私と友佳ちゃんだ。

奇しくも旦那持ちの2人が同率1位だ。

3皿なのは麻紀ちゃんで、こういうときに負けず嫌いを発揮するはずのハナちゃんは2皿で、そのうちの1皿はデザートだった。

飛行機に酔いやすくなるのを防ぐために、セーブしたらしい。

「忘れ物ないですかー?」

荷物のチェック役は、蓮太郎の執事の武田さんだ。

「皆様、お部屋にお忘れ物はありませんでしたので、ご安心ください。」

良かった。

ホテルを出て、行きと同じように車に乗って、那覇空港に向かった。

そして、2時間20分のフライトを終えて、羽田空港に戻ってきた。

機内では皆眠っていたため、寝ぼけ眼だ。

順番に、武田さんがそれぞれの家まで送ってくれた。
私たちの宝月邸は一番最後だ。

黒沢夫婦は、宝月グループが物件を探しているところなので、それまで、柏木グループがこの度始めたという、お試し同棲サービスを利用して、結婚の仮面を被った同棲生活を送ってもらっている。

……妊娠したなら、少し広めの部屋を考えなければならなくなるな。
その辺りも、うまく柏木グループの後継者、康一郎さんと相談しながら、物件を探してくれるはずだ。

それぞれの家まで送ってもらう前に、言葉を掛ける。

「次に会えるのは5日後ね。
バチェロレッテパーティー、とても楽しみにしてるわ。」

ハナちゃんも麻紀ちゃんも友佳ちゃんも。
任せて、というように、Vサインをしていたのが印象的だった。
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