ボーダー
……なにこれ。

フットサルやって、ボウリングやって、カラオケやって、宝月邸でバーベキューやって、そのまま女子禁制のキワドい話ししてただけじゃない!

「だから言ったのに。
ホントに見るの?って。」

「ぶっちゃけ、ナイトクラブに繰り出すとか、そういうの想像してた。
特定の人奥さんにしたら絶対夜遊びできないもん。」

「ああ、話し合いの段階でその案も出たけど、メリットねぇしつまんねぇから、誰も賛成しなかったな。
満場一致で、自分のパートナー以外に欲情しないから行っても無駄じゃね?
ってことになった。」

「ハマったら怒られる筆頭のギャンブルとかも期待してたんだけどなぁ。」

「賭けるお金ないから、いの先に却下になったんだよな、それ。」

「カラオケで普通に歌うだけはつまんない、って話になって、後半の方はマイクとモニターで遊んでたよな。

……『プロポーズの台詞コンテスト』をやったんだ。
プロポーズするならどんな台詞を言うか、それぞれのパートナーが来ない目の前にいると仮定して、そのままのトーンで言ってみる、ってやつ。
結果は後日、女性陣に判定してもらおう、みたいな感じの遊びをしてたな。

得票数低いやつは、後日パートナーに飯奢る、ってルールにしてさ。

ちなみに、一成とミツ、オレはもうプロポーズしてるから除外。
その他のメンツでやったよ。」

「えー、そんなのやってたの?
映像送ってくれたら、いろいろ辛辣にぶった切りながら昨日やったのに。」

「そうよ、こういうの、真っ先に女子のネタになるんだから!」

「辛辣にぶった切ろうよ!今から!
映像見せて!」

誰かが言うと、何かそんな流れになった。

「今からか。
でも、意外にこういうのをバッサリ言いそうな有海ちゃんが不調じゃ、盛り上がりに欠けるねぇ。
よし、挙式後の2次会終わりの3次会にしよう!
友佳には無理させちゃいけないから、予め映像渡して先に意見貰っておく、ってことでどうかな?」

こういうときに、場をまとめるのはハナちゃんだ。

「異議なし!」

男性メンツは全員落胆していた。

その落胆ぶりに、勘の鋭い由紀ちゃんはピンときたようだ。

「あれ?
もしかして、そのメンツのうちの誰か、本気で得票数高かった台詞でプロポーズしようとか考えてる?
だったらちょっと気になるなぁ。

ちなみに、誰?
プロポーズ予定の人!」

「いや、本人の前で言わないだろ……」

「チッ、さり気なく聞き出そうと思ったのになぁ。」

全然さり気なくなかった、というツッコミは誰もができないようだ。

「さて、みんなやることもあるし、そろそろ各々解散にしますか!」

「そうねー。
ホラ、友佳と一成くん、身体冷えたりしないうちに早く帰りなね?」

「ありがとうー!」

2人はそそくさと帰って行ったようだ。
武田さんがお気をつけて、と見送る言葉が聞こえたからだ。

友佳ちゃんと一成くんが部屋を出たのを見計らって、それぞれのパートナーが、私の挙式後の2次会を兼ねたサプライズについて話す。

「うん、いいんじゃないかな?」

「本人たちも、子供産まれるなら結婚式の写真くらいあったほうが、子供が成長したとき話の種になるだろ。」

面白いくらいに満場一致になった。

カチャ、とドアが開いて現れたのはイチャついていた麻紀ちゃんと真くんだ。

「麻紀から聞いたよ、その話。
僕も協力するよ、もちろん。」

真くんがそう言った瞬間、扉が開いて3人の男性と1人の女性が現れた。

男性のうち2人と、女性のうちの1人は見慣れた顔だ。

「村西さん、遠藤さんに亜子さん!」

「レンの執事から話は聞いてる。
お前らが下手に動くより、大人が動いたほうがバレにくいんだ。
動画撮るならとっとと撮って、オレたちにくれれば編集はお手のものだ。
今回は助っ人もいるしな。

それに交渉事なら得意なんだ、オレたちに任せて、各々自分の仕事をしろ?
式を控えているお二人さんは、自分たちの準備が落ち着いたら休むのも自分の仕事だぞ!」

「伊達 徹《いだち とおる》です。
よろしく。
映像編集とかムービー作成分野にも強いから、任せて。
何せ、この仕事する前はテレビ局のADやってたからね。」

ハナちゃんも、御劔くんも、蓮太郎も驚いていた。

「その話は初めて聞きました……
プロの方にお任せしちゃいますね。
よろしくお願いします!」

何やら御劔くんが伊達さんに耳元で話しかけると、にっこり微笑まれていた。

皆、各々散らばる。
帰る者こそいなかったが、部屋を借りて何かをしている様子だった。

私と蓮太郎は、一度部屋に戻ってから、地下のバーで、少し飲み物を口にしながら休憩をしていた。

夜はバーだが、昼間はカフェになるのだ。

蓮太郎の傍らには、分厚いクリアファイルがある。
後々私たちも挙式の準備で使う資料がそれに収められているのだ。

「メイ。
カフェイン、念のため控えなね?
カフェイン含まれてない飲み物探すほうが難しいけど……なるべく少なめなものを。
万が一に備えてさ。」

「……分かってる。」

今から妊娠していたときのこと、考えても仕方ないとは思ってはいる。

ちょうど、挙式の2日前が月イチの予定日になっているのだ。

旦那なりの気遣いを無下にする訳にもいかず、ジャスミンティーを飲むことにした。
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