ボーダー
さっそく、大きめのダンボールから開封していく。

出てきたのは、メイが喜んで使いそうなナノスチーマーだ。
更に、ホットプレートやコーヒーメーカー、衣類スチーマーなどがお目見えした。
ホットプレートは、真と麻紀ちゃんからで、レシピは彼らのお手製だろうか。
心がこもっている。

家電系はきっと村西さんや遠藤さん、伊達さんなど、稼ぎまくっている人たちからの贈り物だろう。

次に、メイと協力しながら小さい小包や封筒を開けていく。

……何だこれ。
小さい小包の宛名が、賢正学園からになっている。
プレゼントしたいものが個別に過重包装されていて、開けるのに苦労した。
小包の上にワレモノ注意、天地無用などと書いてあるので、開けるのに神経を使った。

中でも、専らカップルがそういう目的で使う玩具が入っていたのには目が点になった。

子作りに励め、ってことか?

それ以外の、賢正学園からの荷物の中身は至極マトモだった。
ペアグラスやペアマグカップ、夫婦箸、夫婦茶碗などは、後で宝月のシェフに渡しておこう。
きっと料理の配膳の時に使ってくれるはずだ。

ルームシューズと、ブランケットは将輝と由紀ちゃんからだ。

アロマディフューザーは有海ちゃんからだ。
入っている音楽によってライトの色が変わるようになっているようだ。

まさか、入っている音楽、有海ちゃんのピアノの生演奏じゃないよね?

……聴いてみると、そのまさかだった。
さすがに、彼女の十八番の革命は入っていなかったが。

ナナちゃんと矢榛からは、ペアで着れるルームウェアを送られた。

思いの外小さめの封筒で届いたのは、ハナとミツからのものだ。

首を傾げながら開けると、中にはクルージングチケットが入っていた。

そして、ハナとミツがそれぞれ書いた手紙まで入っていた。
少し丸くはあるが、ハネはらいはしっかりしているのはハナの字だ。

『メイちゃん
レン

改めて、結婚おめでとう!
身内の挙式は2回目だけど、準備から携わったからか、とても胸にこみ上げるものがあります。

式のメイちゃんとレン、眩しいくらい輝いていて、なおかつ幸せそうで。
見てるこちらまで幸せになれる素敵な時間を過ごせたことを嬉しく思います。
今まで、理想の夫婦は私の血のつながらない両親にしていましたが、これからは幼なじみ夫婦と答えようと決めました!

これからもずっと、2人らしい、温かい家庭を築いてね!

ハナ』

『レン
メイちゃん

改めて、結婚祝いを贈ります。
本当におめでとう。

幼なじみがこうして挙式をするのを見ているとオレたちも大人への階段を登っているのだと実感できる気がします。

ウィッシュリストには記載はなかったが、ウィッシュリストに列記されたものはたいてい受け取っていると思っているので、オレたちからはクルージングチケットを贈ります。

この方が、育児が一段落した頃、リフレッシュしながら、夫婦水入らずの時間を過ごせるだろう、ということになった。

気に入ってくれるかは不明だが、きっと満足してもらえると思っている。
機会があれば楽しんでほしい。

結婚しても、オレとレンとハナが幼なじみだという事実は変わらない。
オレとハナはもう少し、学生を続ける。
将来、お前たち夫婦が自分の子供を大学に進ませるときが来たら、アドバイス等は出来ると思う。
困ったら声をかけてくれ。

オレやハナの方から、レンを頼ることもあるだろう。
その時に、知恵などを貸してくれるとありがたい。

それでは、末永くお幸せに。

ミツ』

「メイ、やっぱり幼なじみが最強だな。
ギフトのセンスありすぎる。」

「そうね。
これなら、この子が産まれて少しして、落ち着いたら保育園に預けて、クルージング行けそうね。
来年の結婚記念日にこれでもいいかもしれないわ。」

「さすがメイ。
いいこと言う。
さすがはオレの奥さんで、この子のママだ。」

愛実ちゃんと和貴くんからは、デジタルフォトフレームをもらった。
これで、オレとメイの今現在を残して、これから産まれてくる、メイのお腹の中にある子に見せてあげられる。
センスのいいプレゼントで嬉しい。

友佳ちゃんと一成からは、今治タオルが贈られてきた。

宝月の専属シェフに渡して、配膳の時や調理のときに使うものと、普段遣いするものに仕分ける。

大事な幼なじみの婚約者カップルから貰ったものは、金庫にしまっておくことにした。

「皆、各々考えてくれて嬉しいわ。
人から贈り物をされるって、嬉しいものね。

私たちも、今は独身ではあるけれどパートナーがそれぞれいるカップルが入籍した際は、ちゃんとお祝いしないとね?」

「ああ、そうだな。
それも恩返しの1つだ。」

そんな話をしていると、家の電話が鳴った。

……誰だ?

「もしもし。」

『あ、レン?
ちょっと、今からそっち行っていい?
ミツからのお願い。レンは、宝月グループのいろいろでスーツ着慣れてるだろうから、変じゃないか見てほしいんだって!
私は付添いだけどね?

ホントはどこかのカフェで落ち合いたかったけど、レンもメイちゃんが心配だから、おちおち外にも出られないでしょ?

ってことで、私たちが出向くね!』

……そういうことか。

「……ああ、待ってる。」

オレがそう言うと、電話は切れた。

「今から、センスのいいプレゼントをくれた幼なじみ2人が、家に来るって。」

メイにそう言うと、もてなすために立ち上がろうとした彼女を制した。

「オレやるよ。
横になって休んどけ。
無理して流産とか、オレは絶対嫌だからな。」

メイを横にならせて、武田と共に来客用のソーサーセットなどを準備する。

その1時間後、インターホンが重厚な音を鳴らして、来客を告げた。

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