俺様と奏でるハーモニー


「……何が、ですか?」


心底疲れたような顔をした森本先生が、私を見てため息をついている。


でも、これだけはちゃんと言わなくちゃ。


彼女のプライドを傷つけてしまったこと、本当は謝りたい。


だけど今、修さんと城田先生がいる前でそれを話すのは多分逆効果だから、こう言っておくのが得策だと思うの。


こうすれば、私が一方的に悪者だったように思わせる謝り方になるから。


森本先生を一番傷つけないで、後にわだかまりを残さない謝り方は、とりあえずこれしかないと思ったの。



「私、森本先生に嫉妬していたの。

私達、内緒で付き合っていたから、職員室ではとにかく顔を合わせないように徹底していたわ。

気づいてなかったかも知れないけれど、私はなるべく五十嵐先生と距離を置いていたの。

だから、人目を気にしないで五十嵐先生と仲良くできるあなたが羨ましかった。

生徒はみんな、あなたと五十嵐先生が付き合ってるって噂していたし。

音楽準備室で『察してよ』って言われたとき、本当は私のほうが察して欲しかったのかも。

それであんなにきついことを言って、あなたを怒らせてしまった。

採用試験の直前だったのに私のくだらない嫉妬のせいで、最悪な気持ちにさせてしまって本当にごめんなさい」



< 140 / 215 >

この作品をシェア

pagetop