俺様と奏でるハーモニー
保険会社からもらった、ピンクの頭巾を被ったウサギの判子ケースを引き出しから取り出す。
……どちらかといえば、黒い頭巾のウサギの方が、私のイメージに近いですって!?
誤解だわ!! 偏見よ!!
……でも確かに、口がばってんの白いウサギよりは、こっちに近いわね、私のキャラ。
城田先生と一緒に保健室へ向かう。
放課後の保健室は、部活で怪我した生徒が来ない限り、平和そのもの。
ドアを開けると、案の定修さんが待っていた。
「次は由奈の番だ。俺のを見て書けば、間違えることはないだろ」
保健室の中央にある、長テーブルに広げられていたのは、婚姻届。
普通、婚姻届ってこんなところで書く!?
いくら勤務時間が終わってるからって、いいのかしら?
隣でにこにこしている城田先生の手前、文句も言えず、すんなり書かせて頂きました。
そして、判子をポン。
ちなみに私の判子は『由奈』なのよ。結婚しても使えるようにってお母さんが作ってくれたもの、だったりする。
確かに、これから先も使えるわね。