俺様と奏でるハーモニー


私がじろり、と睨むと。


「芹沢先生、今日の空き時間はいつですか?」


知ってるくせに、と思いつつ答えてあげたわ。


「1時間目と4時間目、それに6時間目です」


「それじゃあ、6時間目に打ち合わせしましょう。音楽準備室にうかがいますから」


ついに来たか。仕方がないわね。


「わかりました。お待ちしています」


「あ、昼休み、空いてますか?」


え? 昼まで使われるの?


「……ええ、特に用事はありませんけれど」


「じゃあ、4時間目終わったら、そっちへ行ったほうが早いな。

楽器持って行きますから、その時合わせましょう。

芹沢先生も、空き時間にちょっと練習しておいてください」


「はい」


その時初めて、五十嵐先生の足元に、黒いハードケースが置いてあることに気づいた。




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