ワンダー、フルカラー
今、もの凄く私が浮かれていることは知っている。そして、不安な要素があることも。
10年以上も一緒にいるのに、今更ながらもの凄く仲の良い臼田くんのキャラが掴めなくなってしまったこと。そして、臼田くんが実は不思議くんと言われるほど不思議くんではなくて、普通な男の子であることも。そんな普通ならどうでも良いことが、普通ならそれで良いじゃないかっていうことが、今の私の中では不安要素になってしまっている。
正直に言えば怖い。実は知らない人だったりするのだろうかとか思ったりしてしまって恐ろしい。
臼田くんのことは大好きだ。恋の意味で。しかし臼田くんのことを怖いと思ってしまう私は今、彼のことを好きでいられる資格なんてないのでは…?

(…眠い。)

考えているうちに段々と瞼が落ちていく。引きずり込まれるようなそんな感じではなくて、うとうとと、ジワジワと…鈍い具合に。
しかし寝てはいられない。これから酔っ払いと対峙をするのだから、眠気に負けてはならないのだ。

「起きろ真夜子ぉ…」

言葉にして気合いを入れてみる。が、しかし、無理なようだ。喋った瞬間に更なる眠気がやって来た。

(もう限界…)

こんなところで寝てしまったら風邪を引いてしまうことは百も承知だけれど、移動しようにも眠気に邪魔をされて動けそうにない。
だから、座っていたソファーの上で、そのままの姿勢で目を閉じた。
大丈夫…多分。風邪引いたらいつもみたいに根性で治せば良い。どうにかなる。
そんなことを言い聞かせながら持っていた漫画を手から離し、私は遂に夢の中へと入り込んでいった。
夢のような1日が、終わりを告げる。
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