こころ、ふわり


「萩、今日よかったら泊まっていかない?」


と、澪がお茶を飲みながら私に声をかけてくる。


「芦屋先生寝ちゃってるし。部屋ならあるから」


そこまでお世話になるわけにはいかない、と私は慌てて首を振った。


「大丈夫です。私1人でも帰れるし」


「君を1人で帰らせたってあとから芦屋先生が聞いたら、怒られるのは俺たちだから」


徳山先生は以前のイメージとはかけ離れた、優しい雰囲気を身にまとって微笑んでくれた。


2人でそんな風に言われたら、断れなくなってしまった。


とりあえずお母さんには友達の家に泊まることになったとメールを入れておけば、特に問題は無い。


私は申し訳ない思いに駆られながらも、


「じゃあ、お言葉に甘えます」


とうなずいた。


< 392 / 633 >

この作品をシェア

pagetop