こころ、ふわり
「萩、今日よかったら泊まっていかない?」
と、澪がお茶を飲みながら私に声をかけてくる。
「芦屋先生寝ちゃってるし。部屋ならあるから」
そこまでお世話になるわけにはいかない、と私は慌てて首を振った。
「大丈夫です。私1人でも帰れるし」
「君を1人で帰らせたってあとから芦屋先生が聞いたら、怒られるのは俺たちだから」
徳山先生は以前のイメージとはかけ離れた、優しい雰囲気を身にまとって微笑んでくれた。
2人でそんな風に言われたら、断れなくなってしまった。
とりあえずお母さんには友達の家に泊まることになったとメールを入れておけば、特に問題は無い。
私は申し訳ない思いに駆られながらも、
「じゃあ、お言葉に甘えます」
とうなずいた。